素敵なあの人と同じ服を着ても、同じようにならないのはなぜ?

鏡の前で白いシャツとデニムの着こなしを確認する女性 06|コーディネート

ファッション系のYouTubeで、新しく発売された服の紹介をいくつか見ていました。

「かわいい」
「これ、いい」
「おすすめです」

紹介されている服は、たしかに素敵でした。紹介している人にも、よく似合っています。商品について知ることができるのは、こうした紹介を見る楽しみの一つです。

見終わったあと、私の中には別の問いが残りました。

「その商品がいいのはわかった。ほんで?」

私が知りたかったのは、その先だったのかもしれません。

その服を自分が着たら、どう見えるのでしょう。
何を合わせ、どのように着れば、自分の装いになるのでしょうか。
素敵な人と同じ服を着れば、自分も同じような印象になるのでしょうか。

私たちが見ているのは、一着の服ではなく「装い」

素敵な人を見たとき、まず目に入りやすいのは服です。そのため、「あのシャツが素敵」「あのジャケットを着れば近づけそう」と、素敵に見える理由を、印象に残った一着に結びつけることがあります。

実際に私たちが見ているのは、その服だけではありません。

その服を着ている人がいて、着方があり、合わせている服や靴、小物があります。ヘアスタイルやメイクも含め、それらすべてが一つの全体像として目に入っています。

私たちは装い全体を見て「素敵」と感じながら、その理由を、一着の服の力として受け取っていることがあるのかもしれません。一着の服が装いの印象になるまでには、服以外のさまざまな要素が関わっています。

同じ服でも、着る人との関係で見え方は変わる

ハンガーに掛かっているときは同じ服でも、人が着ると、その見え方は少しずつ変わります。

同じ色でも、肌や髪の色との組み合わせによって、顔まわりが明るく見えることもあれば、服の色で暗く見えることもあります。同じ形でも、身体の厚みや重心が違えば、実際に現れるシルエットは同じではありません。素材の落ち方や、身体との間にできる余白も変わります。

服そのものが変わったわけではありません。変わったのは、服と着る人との関係です。

これは、美醜や体型の優劣についての話ではありません。その人にはその人の素敵さがあり、自分には自分の素敵さがあります。同じ服が、それぞれの人の上で違う見え方をするのは、自然なことではないでしょうか。

商品紹介で見ているのは、「その人がその服を着たとき」の一例です。自分が同じ服を着れば、今度は「自分とその服」の新しい組み合わせになります。

同じ服でも、「どう着るか」で見え方は変わる

服と着る人の関係だけではありません。同じ一着でも、どのように着るかによって見え方は変わります。

たとえば、同じシャツでも、ボタンをどこまで留めるか。袖をそのまま下ろすか、少しまくるか。裾を出すか、入れるか。袖や裾を少し扱うだけでも、見える肌の分量や、身体のどこで服の線が区切られるかが変わり、全身の重心やバランスも違って見えます。

同じデザインの服でも、どのサイズを選ぶかによって、身体と服の間に生まれる余白やシルエットは変わります。写真では何気なく見える着方も、実はその人が素敵に見える理由の一つなのかもしれません。

服の見え方は、ただ着るだけで決まるものではありません。着る人が袖や裾を扱い、全身のバランスを整えることで、その人の装いになっていくのではないでしょうか。

同じ服でも、組み合わせによって印象は変わる

一着の服の見え方は、何を組み合わせるかによっても変わります。

どのような色や形のボトムを合わせているのか。バッグの大きさや形はどうか。アクセサリーや眼鏡が、どこに視線を集めているのか。さらに、ヘアスタイルやメイクまで含めれば、同じ服でも全身の印象は変わります。

たとえば、シンプルなシャツとパンツの組み合わせが素敵に見えたとします。その理由は、シャツそのものだけではなく、袖をまくって手首を見せていることかもしれません。パンツと靴のバランスが取れていることや、小物が装いのアクセントになっていることかもしれません。

その人が着ていたシャツを自分の装いに取り入れても、一緒に着る服や小物が変われば、全身のバランスや印象は、もとの装いとは違うものになります。

コーディネートは、素敵な服を集めることではなく、服や小物をどのように関係させるかを考えることなのかもしれません。

パリジェンヌらしい服を揃えても、思い描いた装いにはならなかった

私も以前、パリジェンヌの装いに憧れ、同じようなアイテムを揃えれば、その雰囲気に近づけるのではないかと考えていました。

パリッとしたシャツやジャケット、しっかりした素材のボーダー。どれも、私が思い描いていた「パリジェンヌらしい服」でした。それぞれの服は素敵でしたが、揃えて着てみても、思い描いていた装いにはなりませんでした。

当時の私は、装い全体から感じ取った素敵さを、服の種類に結びつけていたのだと思います。パリジェンヌの装いをあらためて見ていくと、その素敵さは、シャツやジャケットといったアイテムだけにあるわけではありませんでした。

自分の身体に合うサイズを選ぶこと。袖や裾をそのままにせず、全身を見ながら整えること。シンプルな服に、小物でその人らしさを加えること。私が取り入れたかったのは、パリジェンヌが着ている服そのものではなく、その装いを成立させているエッセンスだったのだと思います。

今振り返れば、服だけを揃えて同じようになろうとしていたのですから、「そら、うまくいかへんわなー」と思います。

次に素敵な人を見たとき、どこを見るか?

素敵な人を見つけたときは、商品名を調べる前に、一度その人の全身へ視線を戻してみましょう。

どのようなサイズ感で着ているのか。袖や裾をどう扱っているのか。どのような靴や小物を合わせているのか。すべてを分析する必要はありません。

まずは一つ、服そのもの以外に「素敵」と感じた理由を見つけてみる。そこに、自分の装いに取り入れられるエッセンスがあるかもしれません。

「何を着ているか」だけでなく、「どう着ているか」まで見てみると、同じ服を探すだけでは見えなかったものが見つかるかもしれません。


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